はじまりは、ひとりのママのアイデアから
「ちょうどよい長さで、きちんと絡みつく麺があったら」
きっかけは、モニターに参加してくださったひとりのママの声でした。それまでは、短く切ったベビー用の麺を活用していたそう。でも麺が短いぶん、スプーンやフォークを少し傾けただけでするりと滑り落ちてしまう。それが、食べこぼしの一番の原因になっていたといいます。「切らなくても、ちょうどよい長さでスプーンやフォークに絡みつく麺があったら」――そんな声から生まれたのが、円周10cmほどの“輪っか状の麺”というアイデアでした。切らずにほどよい長さが摂れて、フォークや箸の練習中のお子様にもひっかかりやすい。この一言が、こめまるめん開発のすべての出発点になりました。
「うちでは無理です」と言われ続けた日々
ママのアイデアを形にすると決めたものの、まず立ちはだかったのは工場探しでした。電話をかけても返ってくるのは、いつも同じ言葉。「うちでは無理です」「リング状なんて聞いたことがない」。米粉のめんを作れる工場自体が少ないうえ、それを丸く成形できる技術となると、日本中どこにも見当たりません。ふつうのめんとリング状のめんとでは、そもそも製法がまったく違ったのです。半ばあきらめかけていたある日、一件の電話の向こうから、こんな言葉が返ってきました。
「面白いですね、一緒にやってみましょう」
0.1mmのズレが、すべてを台無しにする
工場が決まっても、そこからが本当の勝負でした。小さなお子様が食べやすいようにと麺を細くすると、乾燥する過程でぽろぽろと割れて粉になってしまう。かといって太くすれば、今度は「食べやすさ」がまるごと犠牲になる。太さも、加熱温度も、水分量も、すべてが数ミリ・数秒単位のせめぎ合いでした。試作しては割れ、また試作しては割れ――そんな日々が何ヶ月も続きました。それでも諦めなかったのは、職人たちの「絶対にできるはずだ」という意地だったのかもしれません。
「あ、笑った。」その瞬間、報われた
何度目かの試作品を、モニターのお子様に食べてもらった日のこと。フォークにひょいっとひっかかっためんを、迷いなく口へ運ぶ小さな手。次の瞬間、その子は満面の笑みを浮かべました。「間違いない」。開発チームがそう確信した瞬間でした。断られ続けた電話も、何度も割れた試作品も――そして、あのママがくれた「ちょうどよい長さで、きちんと絡みつく麺があったら」という声も、すべてがこの一つの笑顔につながっていたのだと思えた瞬間でした。
ひとりのママの声が、たくさんの子どもたちの笑顔になった。
私たちが作りたかったのは、麺じゃない
こめまるめんが本当に届けたかったもの。それは麺そのものではなく、「自分でできた!」という誇らしげな表情と、こぼさず食べきれた食卓での家族の笑顔でした。簡単な道のりではありませんでしたが、その先にある景色を信じて、私たちは形にしました。これからも「思いやりをカタチにする」ブランドとして、まだ見ぬ「できた」を探し続けていきます。
